2010/02/14

Review: Insidious Process - demo CD-R

INSIDIOUS PROCESS - demo CD-R

スウェディッシュ・ニュー・アナーコクラスト・マッドネス。Insidious Process
──このバンドは Göteborg (イェーテボリ) の出身だ。現 Protestera のドラマーがこのバンドでもドラムを務める。本作は D.I.Y でリリースされたばかりの全8曲収録のファースト・デモ。同郷の Agrimonia のメンバーが Profane Existence のインタビューで地元の推薦バンドにあげていたこともあり、さっそくメンバーに直接オーダーして入手。その前にも MySpace で何曲か聴いてかなり気に入っていたが、こうして全曲聴いて今はこのバンドのとりこである。

その怒りの凝縮具合がたまらない。全体的にダークだが、いわゆる「モダンクラスト」や「ネオクラスト」のそれではない。ベースにあるのは90's以降のブルータルなスウェディッシュ・ハードコア/クラストという感じか。メンバーがつけているTシャツやパッチから察するに、日本クラスト──例えば、S.D.S、 Disclose、Framtid なんかからの影響もありそうだ。個人的に "Håller Hellre Käft" で聴けるような、黒い激情的なパートも巧みに取り入れているのは聴き逃せないところだ。メリハリあるメタリックなノイズ
ギター、強靭な (スカンジ・ビートというよりは) Dビート、基本猛撃しながらバランスよく変化がある展開──どれも文句のつけようがない。適度にダイナミックなサウンド・プロダクションもいい。ラストは爆発音とサイレンが鳴り響くインスト・トラックである。

そしてまたイーヴィルな雰囲気を醸し出す女性ヴォーカリストがこのバンドに「怒り」を注入している。咆哮する男性バッキング・ヴォーカルとのコンビネーションも抜群だ。歌詞はスウェーデン語/英語で唄われている。


"Everyone Thinks of Changing the World But No One Thinks of Changing Themselves" (みな世界を変えようと思っている。だが、だれも自分自身を変えようと思っちゃいない)──これはジャケットに載せられた言葉である。ここにこのバンドのメッセージの本質が込められていると言えよう。そこにはもちろん支配階級への闘争が意図されている。だが、俺たちはかれらから一つも自由じゃないことを忘れちゃいけない。「変革」とは、自分がどう支配され、また、自分がどう支配しているかを考えることと私は思っている。俺たちはそのことと向き合う勇気を持つこと。でなければ、俺たちはいつまでたっても支配階級の言う (不安を隠すための) 「変革」 (= Everyone Thinks of Changing the World But No One Thinks of Changing Themselves) から抜け出せないだろう。このメッセージからはそう読み取れる。

レビューの最後に "Lies" の歌詞の一部を紹介したい。


隠し事はない
心配することはない
──これが権力の巣だ

隠し事はない

心配することはない

──私たちの終焉を意図するために渇望しやがる


Self-Released: www.myspace.com/insidiousprocess

Year Released: 2010

Insidious Process
(photo by christina)

*The band photo was taken from their myspace.

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