2009/11/18

Making Punk Compilation A Threat Again!: "Making Children's Songs A Threat Again!" comp LP

"Making Children's Songs A Threat Again!" comp LP

フランスの Guerilla Shooting 企画による "Making Children's Songs A Threat Again!" (チャイルド・ソングを今一度脅威にしよう!) をスローガンに掲げた
コンピレーション。パンク/ハードコア・シーンの「タブー」である子供と親というテーマに深く切り込んだ本作。簡単に言えば、この社会における「子供」と「大人」という分断に反撃し、「競争ではなく共同を」・「機械的な頭ではなく自分の頭で考えよう」という DIYパンクの考えを子供の頃から「教えよう / 親しませよう / 知ってもらおう」という非常に意味のある壮大なプロジェクトなのである。Maloka Collective の "ELO" のオープニングのスポークン・ワードから始まり、インターナショナルな参加バンドもまさに豪華と言うべきもので、Sugar Pie Koko (Sweden)、Zanussi (Spain)、Power Of Idea (Japan)、Gride (Czech)、Disarm (Italy)、Karst (USA)、Jinn (UK)、Stracony (Poland)、Migra Violenta (Argentina)、Betercore (Holland)、Inertie (France)、The Dagda (Ireland)、Zegota (USA/Sweden) の全14バンドが参加。そして、全てのバンドが「チャイルド・ソング」を提供し、これは全てのバンドではないが、メンバーの子供がヴォーカルで参加している楽曲もあり。また、子持ちのパンクスたち (Christophe/Stonehenge Records、Michel/Gride、Bas/Shikari、Dan/Profane Existence、Victoria/Karst、Chirstine/Deep Six Records、Loulou/Attentat Sonore、Andy/Submission Hold) によるこのテーマに関するコラムやインタビューを掲載した冊子もついている。実に企画者・各バンドのこのテーマに対する熱の入れようがうかがえる。ついでに、Nancy R.Smith による CrimethInc. の「ジェンダー破壊キット #69B」を掲載したペーパーも付。最後に、この企画の主催者である "Guerilla Shooting" の Germain と Sylvie の声明とでも言うべき文章を訳したので、ぜひ読んでみてほしい。

なぜこんなプロジェクトを?


子供について、子供のためのコンピレーション。


幼年期ってなに? 分類され、組織され、
分析された社会によってつくられた概念とは?

真の状態になる前、成長する前の移り変わりとは? (子供と大人の間にある生の分断は、
人間と動物の分断と同様の意味をなしている)。境界もなく国境もない (その「生物学な」思春期の通過は、私にとって、分類や人間間の等級づけを正当化できるほど重要じゃない)。子供ってなに? 大人ってなに? 私は知らない。そして、他のあらゆる人種差別のようにどうでもいいこと。私にとって、唯一大事なことは、私の側が成長して、私が自由を教える絶対的な義務がある幼い個人だということ。

こうした幼い人間にとって、私たちのスピーチ・私たちの言葉・
私たちの歌詞・私たちの曲・私たちのイメージはそう簡単に理解できるものというわけではありません。私は、私たちの世界が彼女に訴えかけないと信じたくない。私は、そのような音楽を聞き、そのようなファンジンや本を読み、彼女が「成長」し、「大人」になるのを見たくない。私は、彼女に、自由・フェミニズム・アナーキー・エコロジーに関する話が、「大人」のためだけにある言葉と思ってほしくない。私は、彼女に、このあらゆる言葉・考えが、あらゆる人間のためのモノであることを知って欲しいと思う。だから、それらは彼女のモノでもあるの。

私たちの闘いにおけるいくらかの余地、
そしてこうした他者という人間のための私たちの叛乱は、私たちを取り巻く子供にある。これはこのプロジェクトを動機づけること。

- Germain と Sylvie


Released by Guerilla Shooting (?)

本レビューは当時 Acclaim Distribution に入荷した際に書いたものを加筆・改編した。

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