2009/07/13

This Week's Recommendation from Acclaim Collective (A): Harum-Scarum - Suppose We Try LP

HARUM-SCARUM - Suppose We Try LP

定番のような気もするし、あらためて紹介する必要はないと思うが、
当コレクティブ的にも本作はやはり外せない (今でも聴くということもあり)。1stアルバム "Mental Health" (Tribal War Records) でのフィメール・ヴォーカリストが抜け、3ピースになった US ポートランド州オレゴンの (ガールズ) アナーコパンク・バンド "Harum-Scarum" の大名作2ndアルバム。かなりメロディアスになった、というのが当時の第一印象。前ヴォーカリストの「毒々しさ」が減退したのは残念な気もしたが、今はこっちの方が気に入っている。だが、当然まだ「怒っている」。本作では、音の輪郭が明瞭になり、さらに生き生きとした演奏を聞かせる。そして、心に響くメロディラインとベースライン、タイトなドラムによるアグレシッブな部分と聞かせる部分の調和も素晴らしい。また、本作のラストに収録されている "As Civilians Die Again" (元々は1stアルバムに収録された曲。本作に収録されているのはアコースティック・バージョン) で、その表現力豊かなパンク・サウンドは頂点を極めると言っても過言ではない。歌詞は、彼女たちが MRR のインタビューで語っていたとおり、女性がパンク・バンドをやるという「特異性」にとどまらない。それは、家長制及び家長制を利用する資本主義の構造そのものにメスを入れなければ、「平等の社会」など創造し得ないというアナルカ・フェミニズムに基礎を置いた感を受ける。扱われるテーマは、性差別、同性愛嫌悪、プロライフ (反妊娠中絶)、(米) 帝国主義、多国籍グローバリズムと広範に思えるが、それらの問題性 (野蛮な) は彼女たちのポリティクスによって「一つ」に結ばれる。つまり、Harum-Scarum は、女性の権利が国家によってーこの男性優位社会によって、いかに抑制されているか。Harum-Scarum は、同性愛者の権利が国家によってーこの異性愛社会によって、いかに抑制されているか。Harum-Scarum は、あらゆる人間の権利が国家によってーこの資本主義社会によって、いかに抑制されているか。このことを徹底的に提示していた。私自身が彼女たちから突きつけられた問題で言えば、そのようなシステムが「男性」によってつくられた歴史を考慮せずして「反システム」を標榜することは、それがいつでも「セクシズム」や「レイシズム」になりうるし、またそれをいつでも「反セクシズム」や「反レイシズム」とでっち上げることはたやすい、ということだ。

1. The Marry-Age Meets the Kiss of Dead

2. Inappropriation

3. Violent Measures

4. You Can't Stop Me

5. The Fight Inside of Me

6. Where Did You Wrong?

7. As Civilians Die Again

" 私はこの悲惨な場所に望まない生命をもたらすことを強要する国家を絶対に許さない "

- You Can't Stop Me

Released by Hex Records (2001)

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