ドイツの Campary Records から以下の新作2タイトルが入荷しました。どちらも素晴らしい作品です。
EYE FOR AN EYE - Cisza LP (Campary) ¥1,100
ポーランドのパワフル・モダン・メロディック・パンク/ハードコア "Eye For An Eye" の通産3枚目に当たるニュー・アルバム。フィンランドの Kamaset Levyt からリリースされた1stアルバム "Dystans" 以来、久しぶりにこのバンドを聴いたが格段にパワーアップ。そして格段に曲も良くなった。基本は変わらないので、レビューは以下の 1stアルバムを参照のこと:
" このポーランドの "Eye For An Eye" を初めて知ったときちょっと驚いた。彼らのサウンドが「Post Regiment meets Agnostic Front」と説明されていたからだ。「Post Regiment 」と書かれたら俺も見過ごすわけにはいかない。しかし聴いて納得した。まさに Post Regiment ばりの歌声と唱方を駆使しながら、NYハードコア的なシャウトを披露する女性ヴォーカリスト。そしてメロディアスなアナーコパンク・サウンドおよび Oiフレーバーもあるストロング/ファストな NYハードコアの完璧なミックス。ポジティブ/ポリティカルな歌詞はすべてポーランド語で唄われている。「扉を開け」と唱うオープニング・ソング "Otworz Drzwi” (Open The Door)、「リラックスして」と唱う反労働ソング "Budzik” (Alarm Clock)、「世界は白 (善) と黒 (悪) の映画のようよ」と唱う "W Tlumie” (In The Crowd) など全14曲収録。ボーナス・トラックとしてて、"Fabryka Drwin" より2曲追加。 " - Acclaim Collective (A)
OI POLLOI - Ar Ceol Ar Canan Ar-@-mach LP (Campary) ¥1,100
Oi Polloi の現時点での最新アルバム "Ar Ceol Ar Canan Ar-@-mach" がドイツの Campary Records とスウェーデンの Not Enough Records の共同により再プレス。レビューは以下のテープ・バージョンを参照のこと:
" 言わずもがなスコティッシュ・アナーコパンク・レジェンド "Oi Polloi" (兼 "Anti Fascist Action") の2006年リリースの最新アルバム "Ar Ceol Ar Canan Ar-@-Mach" のプロコピー・テープ・バージョンがリリース。Oi Polloi と言えばこのレーベルーーポーランドの Nikt Nic Nie Wie (このレーベルは、彼らのレコードをリリースしているだけでなく、彼らの入手可能な作品はほぼディストリビュートしている) から。
このアルバムは1999年にリリースされた "Fuaim Catha" (Skuld Releases - LP / Combat Rock Industry - CD) から数えると実に7年振りのフルアルバムになる (その間に 7"、split LP などのリリースはある)。これは近年の最高傑作であったその "Fuaim Catha" に次ぐ彼らのベスト・レコーディングだろう。メロディアス&ポップな要素から、攻撃的な要素、不穏な要素、彼ら固有のケルト系 (Celtic) 文化を反映させた民族的な要素まで、彼らの魅力が入り交じるーーしかし新生 Oi Polloi を感じさせるようなまさに現時点のマスターピースな内容。シンセの導入が「新生 Oi Polloi」ーーそのことにさらに拍車をかける。近年はより Oi & ストリートパンク色を強めている彼らであるが、その結果の集大成とも言えるだろう。
彼らはまた近年より「公用語化」はされているが「抑圧されている」言語である「ガーリク - スコットランド・ゲール語」 (Gaelic) で唄い始めている。本作もまたすべてその母国語で唄われている。このテープ・バージョンには、オリジナルの CD バージョンにはなかった英訳が付けられている (逆にそのゲール語の歌詞はなし)。彼らの声明の一部を以下に :
「ここにあるこれらの曲は、われわれ固有の文化を防御するその闘いの一部である - とりいそぎ付け足せば、なんらかの偏狭な愛国心から - しかし多様性の価値と異文化の尊重という信念から。」
そして Oi Polloi と言えば、いわゆる「イスラエルーパレスチナ問題」への言及・追求だろう。彼らほどこの問題に対して「しつこいまでに」言及・追求し続けている DIY パンク/ハードコア・バンドは、今のところ世界中見渡してもちょっと見つけるのが難しい (もちろんそれが「良い・悪い」ではなく、量的なことでもない。世界中の多くの DIY パンク/ハードコア・バンドもまたこの問題に対して言及・追求している「現実」も忘れてはならない。ちなみに、イスラエルの「DIY」を標榜するパンク/ハードコア・バンドは除く。それは必然とだけ言っておこう)。だが、絶対に忘れてならないのは、彼らは一貫してこの問題を「イスラエル (人ではない) への糾弾ーパレスチナ (人である) への連帯」という立場で言及・追求し続けている、ということだ。本作にもむろんこの問題に対して言及・追求した曲がある。この問題の「現実」は、彼らを「音楽以上」で聞くことで分かる、と言っても過言ではない。現在のいまだ「イスラエルーパレスチナ問題」で語られる状況を見るにつれ、暗たんたる気持ちになることに従って、以下の歌詞を訳出しておく。 " - Acclaim Collective (A)
Oi Polloi - Cait A Bheil An Armached Leir-sgrios?
(大量破壊兵器はどこだ?)
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
この大ウソでどれくらいの人間が死んだんだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
大量破壊兵器はどこだ?
Faslene, Dimona, Porton Down
そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
そこが大量破壊兵器を見つける場所だ
Israeli, Britain, America
Israeli, Britain, America - 大量破壊兵器!
( 註 : Faslene, Dimona, Porton Down に関して。Faslene はイギリスの海軍基地、Dimona はイスラエルの核施設、Porton Down はイギリスの化学兵器施設を指している。)
Campary Records: www.campary-rec.de
Acclaim Distribution is here
レビューは、当時、Acclaim Distribution に入荷した際に書いたものを加筆・改編した。
「Faslene, Dimona, Porton Down」の註釈に関して。レビューを書いた当時(2010.1.22)、イスラエルの核施設の「Dimona」にだけ言及していたので訂正しました(2014.7.14)。申し訳ありません。
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