2009/11/28

Making Punk Compilation A Threat Again!: "The 51 Comp" LP

"The 51 Comp" LP

本作は、1997年、今はなきドイツの Join The Team Player Records がリリースした。まずは本作がリリースされた1997年という年に注目したい。ベルリンの壁が崩壊し、1990年10月3日に東西ドイツが統合された後の10年は、"Einigkeit und Recht und Freiheit" (統一と正義と自由) という真しやかな標語に隠ぺいされたドイツ軍国主義の拡大、ネオファシズムの増殖の時代であった (もちろんこれ以降も続いている)。ドイツは NATO の主要構成国として、1945年の第二次世界大戦での敗戦以来はじめて、欧州国外 (ボスニア) に軍を派遣、戦争に参加した (1991~1995年)。一方では、NPD (ドイツ国家民主党) と呼ばれるネオナチ政党が台頭、移民に対する日常的なレイシズムの悪夢が
東部だけではなく国内全体に蔓延していた (1996年)。本作には、"the records of today are the actions of tomorrow" (今日のレコードは明日の行動である) という副題がつけられている。つまり本作は、そうした国家の抑圧と我々がどのように対峙していくか、そうした国家の抑圧から我々がどのように自分自身を守っていくか (レーベル主催者も言っているが)ーーという明確な目的を持って、アンティファ (反ファシズム) などの反対闘争と呼応しながら、社会切断がますます進む当時のドイツの政治状況に対して即座に反応された作品なのである。全44ページにもおよぶブックレットには、関連のアーティクルやドイツにおける移民の実情に関するレポートが掲載され、アンティファ・グループの連絡先も充実されている。参加バンドは、Sabeth、Converge、Locust、Upset、Anomie、Daybreak、Four Hundred Years、Acheborn、Seein'Red、Mine、Cerulean、Concrete の全12バンド。すべて未発表曲を提供している。パンク・カルチャーの中には、つねに抑圧に関する問題と現在の社会環境が不可分に存在している。本作はそのような確信をあらためて強く強く感じさせてくれた名コンピである。ブックレットの中の空白のページの上に、「Silence.」 (沈黙) と一言だけ書かれたメッセージは今なお我々パンクスになにを投げかけているのだろうかーー"the records of today are the actions of tomorrow" (今日のレコードは明日の行動である)。

Sabeth - der augenblick bleibt

Converge - flowers and razorwire

Locust - ass gravity

Upset - make and end

Anomie - un pas en dehors

Daybreak - sundance

Four Hundred Years - six minutes
Acheborn - circadian rhythm upset

Seein'Red - blow up

Mine - heart.soul.grease.

Cerulean - countdown money law

Concrete - tre motivi


私たちは差別的経済と社会的ロジックの自己満足の中で、それそのものの機能を放棄している社会から何を期待することができるのだろうか?


今日、何百万人もの人々が無関心の中に締め出され、排斥され、孤立させられている... 私たちは恐れている。彼らの目と向き合うことや権力と富に基づく人工的幸福のための社会に疑問を持つことを...


明日、私たちは指導者に責任を押し付けることで、自分自身の責任を放棄するかもしれない。


外側への一歩ーー私たちがそしらぬふりをすることは、民主主義の機能不全を反映させただけにすぎない。不可欠な問題として、飢えに苦しむ人々がいる一方で、なぜ贅沢な社会的ステータスと闘うのだろうか?! 多くの進歩が個人の利益を要することで終わるだけなら、誰もこの不適応な社会に居場所はない。


- Anomie "Un Pas En Dehors" (One Step Outside)


Released by Join The Team Player Records (1997)

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