2012/03/30

Kohosh - Survival Guide 12"EP (ACM027): Review

KOHOSH - Survival Guide 12"EP (ACM027)

"USはシアトルのアナーコメロディックパンクバンドKohoshの2012年リリースの5曲入り12″EPです。こちらは、ポーランドのTrujaca Fala Records、ドイツのCut The Cord That… Records、日本のAcclaim Collective、アメリカのTomorrow Belongs To Us Records、そしてバンド自らのPersons Unknown Recordsの5レーベルによる共同リリースとなっています。さて、メンバーが過去にやっていた、同じく現在やっているバンドをいくつか挙げますと、僕自身には耳馴染みのないものもありますが、Agatha、Alliaceous、Contravene、Creosote、Garmonbozia、Oroku、Pipsqueak、Reckless、Roanoke、Skarp、Snuggleなど。女性ボーカルがフロントに構え、チェロ奏者も在籍の6人組のKohoshですが、本作がこの人たちの初音源となるようです。5曲入りといっても7分超えの長い曲も含む、両面合わせて20分以上の尺なので、それだけでもEPとしてはかなり聴き応えがあります。聴いたときに頭に浮かんだバンドは、Preying HandsやAssassinators、Signal Lost、Harum-Scarumなどですが、それらともまた異なる感触。悲痛な物語の序幕を告げるかのように冒頭から響き渡るチェロの音が何よりもまず耳を引き、これから何かが始まる気配を高めたところで、そこから一気に爆発し怒濤の勢いで突き進む。芯のある声で力強く歌い上げられるメロディー、そこに被さる男性コーラス。2本のギターがドライビングに疾走し、メタリックな質感で奏でられる叙情的な旋律もまた胸に刺さる。全編を通して緊張感が途切れることなく、痛々しいほどの物悲しさを漂わせるメロディアスなサウンド。歌詞は内面的・抽象的であり、具体的な対象を糾弾したりするような内容ではありませんが、メタファーに込められた政治的な眼差しが窺えます。心を収奪されたまま生きるのではなく、自律的な生を取り戻すために抵抗するということ。その歌からは固い意志が感じられます。"

- Age of Distress

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