2010/05/30

Acclaim Releases Now Available

けっこうソールドアウトになったものがあるので、現在入手可能な Acclaim Releases を更新しときます。更新にあたり、説明もところどころ訂正しました。順番は型番どうり。

SHADES OF GREY - Freedom / Incarceration LP (ACM026) - 2010

Shades of Grey はスウェーデン・ストックホルムの現代的なアナーコクラスト・バンドだ。demo CD、split LP/CD w/Massmord を経て、待望のファースト・フルアルバムが完成。彼らは、Sakke (drums)、Diana (guitar, vocals)、Maria (bass, vocals)、Martin (guitar, vocals) という4人のメンバーで構成される。楽器も兼任する Diana と Maria の2人の女性がメイン・ヴォーカルを務め、悲しげなメロディと力強いスウェディッシュ・スタイルのDビートがミックスされた、怒りに満ちたクラストコア・サウンドをプレイする。そして突進するような勢いを保ちつつ、ドラマチックなパートのその融合も見事だ。本作ではさらにダークネスな要素が加えられており、曲構成にもさらに壮大な詩的要素が加えられている。また、Agrimonia、Massmord らのメンバーがバックアップ・ヴォーカルで参加、そのサウンドを盛りあげる。歌詞の内容はアルバム・タイトル──"Freedom" (自由) / "Incarceration" (監禁) がすべてを物語っている。「個の監禁」は、学校制度・男性支配・宗教・軍国主義・その他あらゆる「システム」に内在している。彼らが本作において言及しているように。つまりこのことは次の彼らの言葉によって多くの意味を持つことになるだろうか: 「私たちが今日の政治/経済システムを注視するなら、私たちはどこに立つのか? 個の自由は他者の監禁に依っているのか? 私たちは共存しているのか、競争しているのか?」。16ページ・ブックレット付。Sadness of Noise (アイルランド)、Contraszt! (ドイツ)、Pain of Mind (ドイツ) との4レーベル共同リリース。

NAGÄF / FROM THE DEPTHS - split CD (ACM025) - 2009

コロンビア及びアメリカのアクティビスト・ポリティカル・ハードコア/パンク・バンド。両者共にニュー・バンド。前者 "Nagaf" は、ex-Reaccion Propia。後者 "From the Depths" は、ex-Catharsis/Requiem。世界中の9つの D.I.Yポリティカル・パンク/ハードコア・レーベルによる共同リリース。

KHATARINA - Roaaaaarrrrr! CD (ACM024) - 2008

フィニッシュ・フェミニスト・Dビート・パンク "Khatarina" の自主リリースされたデモCD-R、 Acclaim からリリースした "s/t" 7"、そして彼女らの現時点での最高傑作との呼び声も高い "Ala Eparoi, Vaan Aparoi / Don't Hesitate, Be A Bastard" 12" を収録した全22曲ディスコグラフィーCD。日本語訳付。

CHICKEN'S CALL - Maintenant ou Jamais 10" (ACM018) - 2008

2002年
の "s/t" demo CD、2003年の "La liberte ne se donne pas, elle se prend" 7" に続き、実に4年ぶりとなるフレンチ・アナーコパンク・バンド "Chicken's Call" の4曲入り片面新作10"。正式な作品としては数えるなら、本作はセカンド・シングルと言ってもいいかもしれない。また、本作はそのファースト・デモ、ファースト7" までに参加していたヴォーカリストが退した後の3ピース新体制による録音。既に9年も活動している彼らのサウンドは、メロディアス&ウルトラ・キャッチー、そしてシンガロング全開。それは以前の作品までの延長線上にあるが、よりアグレッシブになり勢いが増した。しかし、彼らの魅力はそれだけではない。幾つかの曲では、アコースティック・ギターを巧みに導入し、実に「心の太い」サウンドを聞かせてくれる。歌詞には、「@パンク・バンド」と名乗るからには必要不可欠な政治的背景がある。歌詞のテーマもそれぞれ次のようなものだ: 働くことが実際にみじめだということよりなにか他のものを取り囲む「労働概念」・社会主義から資本主義へと連なる「我われの受動性」・資本の所有者の特権としてのみ機能する「国境」・学校ー仕事ー引退という「計画された未来」──といったように彼らのその「明確な政治的背景」が如実にうかがえる。「明確な政治的背景」とはいわゆるシステムという名の「奴ら」をあいまいにしないことと認識してもらえたらと思う。だが、「奴ら」とは根本的に一体何なのか? 「奴ら」が都合のいい抽象概念でなくなったときにのみ「以上のこと」が起こりえるということを、このバンドの歌詞から感じ取ってもらえれば幸いだ。日本語訳付。シルクスクリーンで印刷されたジャケット及びピンク・ヴィニール仕様。

VUUR - Vuurviolence CD (ACM013) - 2008

ベルギーのポリティカル・ハードコア/パンク・スクリーモ・バイオレンス・テラー "Vuur" のィスコグラフィーCD。本作には前ヴォーカリスト在籍時のすべての音源が収録されている。収録は、split 7" w/ Seein'Red (2001)、split 7" w/ Amen Ra (2003)、4 way split CD w/ Gantz / Amen Ra / Gameness (2003)、"Decide On Change" benefit comp LP (2001)、さらには未発表の Born Against "Mary And Child" のカバー (2003) を含む全10曲 (ちなみに、split 7" w/ Amen Ra、4 way split CD、未発表の Born Against のカバーの6曲は元々フランスの Stonehenge からリリースされる予定の Vuur / Inertie split のものだった)。また、ボーナスCD-ROM付で、ベルギー/オランダでのライブ映像も収録。彼らの音は、Born Against、Rorscharch ら初期 Vermiform 周辺のバンド、そしてこれらのバンドにインスパイアされ「90's ジャーマン・ハードコア」と言われるスタイルまで生みだした ACME や Systral、あるいは Dropdead などの US・クラスティー・ファストコアの影響までも感じさせる。それらを混沌とミックスさせた破壊力に満ちている。ちなみに「Vuur」というバンド名はオランダ語で "Fire" (炎) という意味。余談になるが、Acclaim が、US のアナキスト・コレクティブ "CrimethInc." の恋愛の抵抗の具現化を壮大に説いた "Join the Resistance ー Fall in Love" (抵抗に参加せよ - 恋に落ちて) を初めて知ることになったのがこのバンドだった。彼らが split 7" w/ Seein'Red のブックレットにこのテキストの冒頭部分を転載していたからだ。このことで彼らのことがますます好きになったことを今でも鮮明に覚えている。彼らの歌詞にもその影響がありありとうかがえるし、パッショネイトな歌詞とはなにか? をしっかりと示してくれている。しかし、きみが今の世界に生きづらさを少しでも感じているなら、"Vuur" (炎) はたんにきみの中にある。歌詞対訳付。

EASPA MEASA / SILENCE - split LP (ACM012) - 2007

アイルラ
ンド・ ダブリンの Easpa Measa は、Acclaim からリリースした split 7" w/ Nemetona に続く待望の全3曲収録 (新曲2曲 + 1st demo CD-R "Renounce & Dethrone" から "Morrigan Song" を再録)。新曲作りに時間がかかるバンドだけに、こうして今かれらの新曲を世に出すことができて、Acclaim としても本当に感極まりない思いだ。今回も「Disaffect meets Unhinged meets The Dagda」といった様相だが、非常に顕著なクラスティー・メロディック・ハードコア・サウンドはさらに力強くなっている。しかも男女ツインヴォーカルが叫ぶ歌詞も本当に独特だ。 支配階級 - 組織的なシステムが俺/私たちの心を毒すことに対し、激しい憎悪を剥き出しにする。注意力と創造力を取り戻せと叫ぶその様には鼓舞されることは疑いない。方や、ポーランドの Silence も Acclaim からリリースした split 7" w/ Burning The Prospect に続く新曲3曲収録。かれらは今作においてもっとも「壮大な」サウンドを創作してきた。 本作は、「Tragedy あるいは From Ashes Rise のような~」と単純には説明できない Silence サウンドの集大成と言っていい。そしてそのサウンドの上で、 「テクノロジーの盲目の突進の上の俺たち」・「自分自身ではないだれかに日々代用される俺たち」・「作られたよりよい未来を信じる俺たち」といったテーマで書かれた歌詞が叫ばれる。Silence の Skubol が運営する Sadness Of Noise との協同リリース。1000枚プレス。

PROTE
STERA / GOTCHA - split 10" (ACM006) - 2010

スウェーデン (イェーテボリ) 及び日本 (福岡) の "スーパー" アナーコパンク・バンド。Protestera は、2006年、同郷の Halvfabrikat Records よりリリースされた近年の名作 "Granslosa Land" 7" と同セッションの新曲3曲 + 2001年リリースの
split 7"/MCD with @patia No に収録された "De maste bort" の未発表バージョン (a.k.a. 2002年バージョン) を収録。新曲3曲内1曲の "Historien om en forsvunnen svensk journalist" (The story of a missing Swedish Journalist) はその "Granslosa Land" 7" にも収録。この曲は、2001年9月23日、祖国エリトリアの民主化を唱えたために、現在もエリトリア政府によって公平な裁判もされず投獄されているスウェーデンのジャーナリスト "Dawit Isaak" の解放を歌う曲。かれは1987年にエリトリアからスウェーデンに亡命し、1992年にスウェーデン国籍を得ている紛れもないスウェーデン市民だが、スウェーデン政府もまたかれを自由にしようとしない。Gotcha は、同郷の Control との split tape (Self-Released)、"Nine-states Chain Strength" comp CD-R (殺シノレコード) 以来の新曲で、"Punks Against G8" split CD (Acclaim) 以前に録音された構想2年以上に及ぶ入魂の全4曲を収録。また、本作に収録されているこれら両バンドの曲は、Protestera が "Insurrektion" (蜂起) 、Gotcha が "Feel, Taste, Love, Life By Ourselves" とそれぞれタイトルがつけられた「ワン・コンセプト・ソング」でもある。ちなみに、Protestera のフロント・カバーには、かれらの意向によって「Protestera」 (To Protest) の日本語の意味の「抗議」の文字が使われている。Protestera は日本語訳付。600枚プレス (500 Black Vinyl / 100 Red And Black Vinyl)。

BURN AG
AIN - Excuses For Apologies CD (ACM005) - 2006

フィンランド・Oulu の Burn Again のディスコグラフィーCD。本作は、東京の Acclaim、神奈川の Reset Not Equal Zero、山形の Urban Resistant のジャパニーズ・3 DIY レーベル共同リリースによるスペシャル日本盤。収録は、同郷の Lahdon Aika との split 12"、そして 1st demo CD-R の全14曲。Tragedy/From Ashes Rise の影響がベースにあるサウンドだが、よりスカンジナビア的なDビートが強調されており、独特のメロディを持っている。そのバンド名が示すとおり「燃える」ような突進型のダークかつメロディアスなDビート・クラスト/スラッシュをプレイ。アングリーでポリティカルな歌詞は、ブッシュ・ナチズム・キリスト・チェチェンの惨劇・労働・この世界における自分たちの宿命/崩壊などのテーマを扱っており、足元を見失わず自身の「目」で書かれている。個人的には同じパンクスとして非常にリアリティを感じられたし、パンク/ハードコア・ミュージックは「他人」という概念をブチ壊してくれるものだ、ということもあらためて強く感じさせてくれた。英語・日本語の各歌詞カード、帯付。

EASPA
MEASA / NEMETONA - split 7" (ACM003) - 2006

アイルランド・ダブリン出身の Easpa Measa (ちなみに、バンド名の「Easpa Measa」は、現在、アイルランドで
は既にほとんどの人々がこの言語を話さないという伝統的なアイルランド語で、"Lack Of Respect" (尊重の不足) と英訳し、「アースパマーサ」と発音する) は、スーパー男女ツインヴォーカルがフロントのポリティカル・ハードコア5ピース。Tragedy がベースにある Disaffect meets Submission Hold と言ったクラスティー・メロディック・ハードコアをプレイする。彼らのこの split 7" の収録曲は、"Renounce & Dethrone" デモから、"Dead Inside (内側の死)" 及び "Maggots & Worms (ウジ虫と虫)" を再録した全2曲。そのデモよりもさらにファスト&ラウドになっている。歌詞もその視点とライティング・センスが素晴らしい。扱われるテーマは、"Dead Inside" がますます支配力を高める警察、"Maggots & Worms" が強欲・暴力・権力に基づくこの世界における私たちの闘争といった内容。そして地元では、Ladyfest や "aLAR" と呼ばれるレズビアン・アート・フェスティバルでもライブを行なうなど、その活動スタンスも実に刺激的。本作のアートワークは、The Dagda の Gyln が担当。方や、横浜の Nemetona は、狂気のフィメール・ヴォーカリスト "Ascum" がフロントに立つレイジング・クラストコア・バンド。彼らは Doom を基本とした攻撃的なクラストコア・サウンドをプレイする。また、彼女の存在感のあるパワフルなシャウトと詩的な歌詞が実に魅力のバンドだ。彼らの音源はベーシストが正式に加入後のバンドとしても初の本格的なレコーディングとなる "For Freedom?"、"Unnecessary"、"Grey Sky" の全3曲。Acclaim Collective としても初のジャパニーズ・バンドのリリースとなる本作が熱い女性パワーを感じさせる作品となったことは今後の当レーベルの可能性をさらに拡げてくれた。両バンドの日本語/英語の歌詞カード付。

REACCIO
N PROPIA - Inercia Somatica CD (ACM002) - 2005

Reaccion Propia はコロンビアはボゴタ出身のポリティカル・パッショネイト・ハードコア・バンド。彼らのまさに情熱的なそのサウンドは、いわゆる「南米タイプのハードコア」ではなく、非常にメロディアス&エモーショナル&メタリックなもの。多彩な音色のギター、多様なドラミング、詩的な展開がその独創性を如実に表現している。コロンビアのアナキスト・レジスタンス・ムーブメントの一端をアクティブに担っている彼らの歌詞もそのサウンド同様に怒りと愛に満ちた情熱的なもの。支配階級/資本主義システムが自分たちを日々どのような存在にしているか? に対する考察、それらから自分たちの自由・尊厳・生を取り戻す意志が激しく叫ばれる。この CD は、彼ら自身のレーベル "Persistencia Records" からリリースされた2004年のファースト・アルバム (全部で10曲) のジャパニーズ・バージョンである。16ページ・ブックレットには、オリジナル・バージョンにはなかった歌詞の英訳が追加されている。いわば「インターナショナル・バージョン」とも言える内容だ。もちろん日本語訳も付。さらには、アートワークも完全ニュー・バージョンで、"Resistencia Visual" による素晴らしいポリティカル・グラフィクスも見どころだろう。Acclaim は、このバンドがもう一つの素晴らしい南米ハードコアを知ることのできるバンドだと思っている。そして、あなたがこのバンドを手に取り、このシステムとは別の「新しい世界」を見つける切っ掛けとなれば嬉しい。山形の新興DIYレーベル "Urban Resistant" との協同リリース。

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