2010/02/23

Review: Shaid - s/t LP

SHAÏD - s/t LP

まずは共同リリースに参加しているレーベルの1つのスイスの Ravachol Prod (DIY Anarcho Punx Autonome!) の説明を転載したい: 「Extreme Noise Terror のようなクラスト/グラインド13曲。純粋に攻撃的かつ暴力的なレコード。この社会を燃やすレコード。」
──「この社会を燃やすレコード」に関しては、これでレビューを終わらせてもいいぐらい的確だが、少しはこっちでもレビューしとこう。このバンドはフランス・ナンシーの出身だ。本作がデビュー・アルバムということである。やはり ENT──そして Disrupt の影響もろだしだが、このバンドはよりグラインド・ビートを多用して猛進してくるという感じである。しかし「グラインド寄り」というわけではないので、純粋なクラストコア・ファンの方がイケると思う。演奏は「キレ」というよりは「ノリ」があるか。そのことが重心の低いサウンドをつくりあげている。戻って「この社会を燃やすレコード」である。ちなみにこのレコードに歌詞はない。その理由はこうだ: 「ここに歌詞はない。俺たちが言うべき新しいことはない。これに失望するなら、本をひらいててめえで学んでくれ。きみはパンク・ハードコアのブックレットを読んで本当になにかを学べると思っているのか?」──と続いて「しかし俺たちが言うことがここにある」と非常に簡素な解説がつけられているだけである。だれかに期待して、だれかを非難する構造──この構造こそがこの社会を燃やすことのできない最大の理由なのかもしれない。このバンドは「敵」をはっきりさせることだけを考えている。そのことに新しいものなどもうなにもないのかもしれない。それこそがその「簡素な」解説の真の意味と言える。

Betrayal (裏切り): 兄弟に反対する兄弟。労働者に反対する労働者。分断は大衆をコントロールする最良の兵器だ。


Deviance: steph.deviance[at]yahoo.fr

Year Released: 2010

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